私の失恋ストーリー 3/3

着いたのは30後半か40前半くらいの若いママが一人でやっているスナック『糸』。スナックに着くと、カウンター席におじさんが1人、テーブル席に50歳過ぎたくらいの夫婦が座っていた。ママが久しぶりだねと翔平ちゃんに。なるほどここは翔平ちゃんの行きつけなのか。行きつけのお店に連れてきてもらうのって、女性としては嬉しいよね。

私たちはもう1つのテーブル席に着いた。隣の夫婦は何杯飲んだんだろう?奥さんベロベロじゃん。それでもカラオケ頑張って歌ってる。めっちゃ音痴、、。私も人のこと言えないけど。歌い終えたらその夫婦はお会計をされ、すぐに帰られた。

そしてまたすぐ違う客が訪れた。今度は30後半くらいの男女3人グループ。この人たちもだいぶデキあがってる。空いたテーブル席に着くと女性がすぐカラオケのマイクを取って、『糸』を歌い始めた。そうだよね。ここのお店の名前だもんね。そりゃ歌う人多いだろう。って、めっちゃ上手!!翔平ちゃんとうまいねっていうアイコンタクトした。

絶対こっちに絡んでくるだろうな~って思ってた矢先。きた。ほらね。まず翔平ちゃんがカモになって、何か歌えって男性2人に言われてる(笑)翔平ちゃん尾崎豊の曲入れる。歌う。絶対次わたしに来るやん。え~~~~~~~~。歌上手くないんですけど。やだな~どうしよ~って考えている内に、男性2人が次歌ってねってリクエストしてきた。分かりましたよ。歌いますよ。

『大阪LOVER』

そりゃ~ね~、今のうちらの心境にはピッタリやろ。歌う前に3人グループにちょっと説明した。

いや、実は私5月から大阪転勤になっちゃいまして。

1人の男性はタンバリン持って、変なミッキーみたいな耳つけ始めて、めっちゃ盛り上げてくれた。あ~無事わたしの番終了。と思いきやその男性から質問。

『大阪行って遠距離恋愛するの?』

もうあかんって。それ今タブーやって。溜まってた涙がどぴゃ~~~~~って滝のように出てきちゃった。何があったと言わんばかりにもう男女3人は超大慌て。わたしは正直に今の私たちの関係と私の想いを3人に伝えた。

『お前、女を泣かすなんてありえねー!!!死ね!!!死んじまえ!!!』って女性が一言。ヤンキー並みの迫力で翔平ちゃんにガチギレ。初対面やで?さすがの私もこれには笑った。

女性の勢いは止まらなかったので、男性2人が止めに入ってくれた。そしてタンバリンの方が、女性に『バカ、あまり言いすぎるな。男にはタイミングってもんがあんだよ。』と言って、翔平ちゃんをこっちに来いと呼んだ。そして男性2人と翔平ちゃんの3人で話し合いを始めた。どうやら翔平ちゃんに説得させている様子だ。その間私はヤンキー風女性に慰めてもらった。そんなこんなで私も酔いが回って記憶が途切れ途切れなのだが、最後は3人グループと仲良くなって、ママも一緒にカラオケして盛り上がった。

そろそろ終電の時間なので、我々が帰ろうとした時、

『お会計は要らん!俺らが持つ。なんかすごいドラマを見せてくれてありがとう!!!』とタンバリンが。

翔平ちゃんはそうはいかないと、何回も何回も言ってたが3人グループは頑なにお金を受け取らなかった。あれは本当に嬉しかったな。そしたらタンバリンじゃない方の男性が、何か書いた紙を私たちにくれた。そこには”蒸気屋”と書かれていた。

そこのオーナーとオレ、すごい仲良いんだ。毎週飲みに行ってるから、今度二人で来てよ。オーナーに森の紹介といえば伝わるから。

翔平ちゃんと必ず今度行こうと約束した。

そしてご馳走になった私たちは店を出て、終電に間に合うように急ぎながら、そして笑いながら桜木町駅に向かった。

わたし『なんかすごかったね。本当にドラマみたいなことが起きたね。』

翔平ちゃん『なんで大阪行っちゃうんだよ、、、。』

え?待って。泣いてるの?!?!

いやいやこっちは何で遠距離できないんだよって言いかけたけど、ちょっと可哀そうだったからやめといた。

その翌日、翔平ちゃんからLINEが。

スナックのママから、たばことライター忘れてるよ。と写真付きで連絡があったと。じゃあ一緒に忘れ物も取りに行こうねと約束した。

しかし忘れ物を取りに行くことも、蒸気屋に行くこともなく、大阪に引っ越す日を迎えた。

あれから1年ちょっと経つ。

大阪での生活も落ち着いてきたので、私は心を入れ替えて再びマッチングアプリを登録することにした。

そこには1週間以内にログインしてる翔平ちゃんのアカウントがあった。

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